フッ素 2019 7 14

 核兵器を作るにしても、
原子力発電所の核燃料を作るにしても、
「フッ素」を調達する必要があります。

 なぜかというと、ウラン濃縮が必要だからです。
天然ウランには、ウラン235とウラン238が含まれていますが、
核分裂をするウラン235は、わずか0.7%、
核分裂をしないウラン238が、99.3%となっています。
つまり、天然ウランの99.3%が使い物にならないのです。
 このような状態では、核兵器どころか、
原子力発電所の核燃料にならないのです。
 そこで、わずか0.7%のウラン235の濃度を上げる必要があります。
原子力発電所の核燃料にするにしても、4%は必要です。
 そこで、どうするかというと、
ウラン235とウラン238の違いは、中性子が3つ多いということですが、
この質量の差に着目して、遠心分離機を使って分離させるのです。
 もちろん、固体のままでは、遠心分離機は使えませんから、
気化する必要がありますが、
ウランが気化するのは、3,800度以上です。
このような高温を作り出すのは困難です。
 ところが、ここで「魔法」が使えるのです。
それが、「フッ素」という魔法です。
 フッ素は、酸化力が非常に強く、
ほとんどすべての元素と反応します。
ウランも例外ではありません。
 ウランもフッ素と反応して、フッ化ウラン(UF6)となります。
このフッ化ウランは、常温では固体ですが、
なんと、56.5度以上にすると、昇華して気体となるのです。
これで、遠心分離機を使って、ウラン濃縮ができるのです。
 そういうわけで、ある国が核兵器保有国になった場合は、
「フッ素は、いったい、どこから調達したのか」と問うべきです。
(参考)
 実は、天然ウランのままでも核燃料にすることができます。
黒鉛炉か重水炉があれば、天然ウランでも燃えます。
 しかし、これができるのは、天然ウランが豊富な国です。
そういう国は、ごくわずかです。
そのうえ、黒鉛炉も重水炉も安定的に運転するには高度な技術が必要です。
私の知識では、そういう国は、世界でひとつしか思い浮かびません。
 そういうわけで、ほとんどの国は、軽水炉を作ります。
つまり、ウラン濃縮が必要です。
黒鉛炉も重水炉も、発電に使うには、経済効率が悪いのです。





























































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